
四肢を失った男がどん底から立直り、5大陸間を泳いだ話です。
1994年3月、フランスのヴィエンヌ県に住んでいた金属工のフィリップ・クロワゾンは、自宅の屋根にあるアンテナを解体しようとしたところ、運悪く送電線に接触し感電して重症を負い、損傷が激しかった四肢を切断しました。
その後、2001年に離婚し自らの命を絶とうとするが、失敗。そんな彼が、2010年に、英仏海峡を泳いで渡り、さらに2012年には5大陸間の海峡を泳いで横断するなど、ハンディキャップをものともせず成し遂げてしまう。
水平に泳ぐだけでなく、垂直に沈む潜水にも2013年に挑戦。34.5 メートルの潜水にも成功してしまう。
水中だけにとどまらず今度は、ダカールラリーに挑戦、完走を成し遂げる。
そして、今後は陸上でなく、宇宙飛行士としてスペースXに搭乗するためエントリーをしてしまう。
そんなフィリップ・クロワゾンの半生を紹介します。
フィリップ・クロワゾン(Philippe Croizon)
誕生日:1968年3月20日
国籍:フランス シャルテロー
職業:ビジネスコンサルタント、スピーカー、アスリート(水泳)
ウェブサイト:https://www.philippecroizon.com/
ツイッター:https://twitter.com/PhilippeCROIZON/
インスタグラム:https://www.instagram.com/philippe.croizon/
フィリップ・クロワゾン(Philippe Croizon)感電事故で四肢切断に
シャテルローの北東に位置するオイレの町に住むエーグルで古物商の父と労働者の母に生まれたフィリップ・クロワゾンは、金属工でした。
1994年3月5日、26歳のフィリップ・クロワゾンは、自宅の屋根にあるアンテナを解体しようと金属はしごで作業をしようとしたところ、運悪く2万ボルトの送電線に接触し感電しました。
その感電によりフィリップ・クロワゾンの体は黒焦げになり、左腕、右腕、右大腿、左下肢を切断しました。100時間以上の麻酔と手術を受け、何とか一命は取り留めました。
事故当時、奥さんと子供1人がいて、さらにお腹の中には第2子を妊娠していました。
その後リハビリテーションを通じて、歩いたり、運転したり、スキューバダイビングをすることができるまでに回復しました。
離婚、絶命に失敗、スザナ・サビノと再婚
2001年、奥さんと離婚。それにより、2人の子供とともにフィリップ・クロワゾンから去ることに。
そのため、一時はフィリップ・クロワゾン自身が自らの命を絶とう試みたことも。
2006年に、スザナ・サビノ(Suzana Sabino)と出会い、再婚することに。
英仏海峡の横断への挑戦
1994年入院中だったフィリップ・クロワゾンは、テレビで17 歳のフランス人が英仏海峡を泳いだドキュメンタリー番組を見た際、彼自身も英仏海峡を泳いで渡りたいと考えました。
時が流れ、14年後の2008年スザナ・サビノと一緒に2年間、週35時間以上、月間280キロメートル以上泳ぐことでトレーニングを行いました。
なお、泳ぐ際には、人工のヒレを装着して泳ぎます。
そして2010年9月18日、42歳のとき、イギリスのフォークストンとフランスのヴィッサン沿岸の間を 13時間26分で泳ぎました。
到着した際の第一声は「やったよ、素晴らしすぎるよ」と言いました。
ちなみに、この横断のサポートスタッフによると、時速3キロメートル程度の遅めのペースで、途中ではイルカの群れがフィリップ・クロワゾンと一緒に並んで泳ぐ一幕もありました。
5大陸間の海峡を泳いで横断「国境を越えて泳ぐ」
英仏海峡の横断から数か月後、フィリップ・クロワゾンは友人の長距離水泳選手アルノー・シャセリ(34歳)と共に、 2012年5月から8月の間に、4回に分けて遠泳による大陸間横断を完遂し、「泳いで 5 つの大陸をつなぐ」ことを約束しました。
- 2012年5月パプアニューギニア – インドネシア間17.2キロメートルを、時間:7時間35分で泳ぐことに成功(オセアニア-アジア間の遠泳に成功)
- 2012年6月エジプト – ヨルダン間17キロメートルを時間:5時間25分で泳ぐことに成功(アフリカ-アジア間の遠泳に成功)
- 2012年7月スペイン – モロッコ間16キロメートルを時間:5時間19分で泳ぐことに成功(ヨーロッパ-アフリカ間の遠泳に成功)
- 2012年8月アラスカ – ロシア(シベリア)間4キロメートルを時間:1時間15分で泳ぐことに成功(アメリカ-アジア間の遠泳に成功)
ただし、ロシアへ入国を拒否され、日付変更線を越え、ロシアの海域を数百メートル侵入したところで、2012年8月18日をもって「国境を越えて泳ぐ」挑戦は終了となりました。
ダイビングの記録に挑戦
2013年1月10日、フィリップ・クロワゾンはダイビングの記録に挑戦しました。結果、34.5 mまで潜ることができ、四肢切断者の潜水深度記録を更新しました。
ダカールラリーへの参加
2017年ダカールラリーに参加しました。
ダカールラリーは気温が40度も超える暑さの中で行われます。
これは、障がい者でも健常者でも全く関係なく平等です。
結果、48位で完走することができました。
なお、2024 年水素電気自動車でダカール ラリーに参加を予定しています。
😄 Rendez-vous sur le #Dakar2024 @PhilippeCROIZON ! https://t.co/JzSa3D2fs0
— DAKAR RALLY (@dakar) June 23, 2022
宇宙飛行士になるためにエントリー
hello @elonmusk I am a famous French adventurer without arms or legs! Send me into space to show once again that anything is possible! @SpaceX pic.twitter.com/NX9Q9ShcUE
— Philippe Croizon (@PhilippeCROIZON) November 20, 2020
2020年Twitter上でイーロンマスクとのやり取りから、いつかスターシップに搭乗することを約束し、2021年2月 スペースXの宇宙飛行士になるためにエントリーをしました。
まとめ
四肢を失った男「フィリップ・クロワゾン」の壮大な挑戦について記事にしました。
最後までお読みいただきありがとうございました。