らんまんは植物分類学の父である牧野富太郎博士がモデルになっていますが、ドラマ上で出てくる草木はレプリカです。西尾製作所の西尾惣一さん、制作主任の飛川恭代さんが制作しました。
NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」は人物以外にも草花といった植物の共演者がいます。でもキンセイランなど絶滅危惧種に指定されている植物なので、本物の草花を使用することができません。
代わりに、造花を用いることで環境を配慮した自然に優しいドラマが撮影できています。
今回は、「らんまん」で草花のレプリカを制作しているのはどなたなのか紹介いたします。
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・NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の造花を作成した会社について知りたい方
・教育機関や博物館にレプリカを提供している会社を知りたい方
NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の草のレプリカや造花について
「らんまん」を彩る“共演者”は、希少な山野草や撮影時とは季節が合わない植物ばかり。
— 連続テレビ小説「らんまん」 (@asadora_nhk) April 9, 2023
植物監修の先生方の指導のもと、こうした精巧なレプリカを用意して、自然に配慮しながら撮影しています。
これからも、可愛い“共演者”たちをどんどん紹介していくのでお楽しみに♪#朝ドラらんまん https://t.co/4NSAotwHe9
NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」は人物だけでなく草花といった植物も共演します。
この草花たち、実はレプリカなのです。
これらの草花は希少な植物でもあり、中には絶滅危惧種になっているものもありますので、コンプライアンス上もそうせざるを得ませんからね。
あと、撮影の時期と開花する時期が完全不一致なので、レプリカの方が撮影しやすいですからね。
開花の時期に併せて撮影すると大がかりですからね。
逆に、開花の時期に合わせて撮影するケースも。私が現在住んでいる大泉学園でも桜の開花シーズンに撮影した現場を見たことがあります。
上のTwitterにもある通り、本物と区別できないほど精密にできていますね。
らんまんの草のレプリカや造花は西尾惣一氏が代表を務める西尾製作所の作品:らんまんの担当は制作主任の飛川恭代さん
らんまんの”共演者”である、草のレプリカや造花はどこの誰が作ったのか?
実は、らんまんのオープニングのクレジットをよーーーくみると答えが書いてありました。
植物レプリカ制作 西尾惣一
西尾惣一さんが精巧なレプリカを作っていたのですね。
さらに掘り下げると「株式会社西尾製作所」で、「らんまん」の植物のレプリカを制作していることがわかりました。
西尾製作所は、西尾惣一さんが代表を務める会社で、大正14年に創業と100年近くの歴史があり、主に、学校教材や博物館向けに生態模型の製作をしています。
西尾惣一さんは4代目の社長です。西尾惣一さん曰く「普通の模型でなくて学術てきな模型を作ろうとしていて、種を「これ」と決めることができる特徴はすべて再現しようとしている」とのこと。
レプリカの例として
- 種のレベルを表現した植物・動物のレプリカ製作
- 分類学上、種の特徴を忠実に再現したレプリカ
- 地域性を重視、モデル他それぞれに対応した模型
- 植物化石より復元した植物模型
- 自然、歴史や生活復元のジオラマ
- 人類、考古関係の模型レプリカ、剥ぎ取り、保存処理
- 拡大模型、生活史(ライフサイクル)を示す模型
- 病理模型標本
があり、これらを学校教材や、博物館の展示品・研究資料としてレプリカを作成しています。
職人は12人います。そのうち、らんまんの担当は制作主任の飛川恭代(とびかわ やすよ)さんで、レプリカ道25年のベテランです。らんまんのドラマに出てくるレプリカのほぼすべてを担当しています。
飛川さんの机には「らんまん」の台本があるのですが、その台本にフセンがはさんでおり、フセンには植物の名前が書かれています。
ドラマに出てくる植物がどのように使われるか、分量をどれくらい作ろうかとか考えながら台本を読んています。
らんまん制作スタッフを打ち合わせをしながら、レプリカを作っていますが、飛川さんが頭を抱えたのがシロツメクサを埋めるシーンだったとのこと。
博物館では形が整っていることが優先なんで、レプリカを固く作っても問題ないが、固い葉は、あたるとポロッと取れるので、柔らかくつくって、役者が懐から出した時も形状が元に戻るように作らないといけない所が博物館とドラマで違うところです。
このシロツメクサは塩化ビニールでできた葉っぱの裏に釣り糸用の白い天蚕糸(てぐす)貼り付けています。定番の針金は使っていません。また、茎(軸)の先端はヤスリで削って細くします。
この葉っぱと茎をつけることで、太くならず、しなやかさを出しています。
さらにシロツメクサの実際の茎の太さを再現するため、ボンドで何層にも塗り重ねます。
通常のロウを使わないことで、曲げても元に戻るように再現しています。
(でも実際のドラマでは2~3秒しか登場しない・・・)
実際にドラマでシロツメクサをみてあまり柔らかさが見えない感じではあったけど、よく映っていたと思います。(大人の対応ですね・・・)
ドラマ班に届けた際、開けた時にみんな「すごーい」と言ってくれて、撮影中も「シャクトリムシ」が上がってきましたよと言って、みなさんが「これ本物?」と声をかけてくださったと聞きました。うれしかったです。
そして、いつも見ていたボロボロの図鑑が牧野富太郎博士の著作だったことをドラマの制作で初めて気づいたというオチもww
このボロボロの図鑑初代の社長時代から使っているものです。
らんまん以外の製品については製品案内のページをご覧ください。
西尾製作所の匠の技でわたしたちの「知る」をレプリカを通してサポートしています。
レプリカができるまでの工程は以下の通りです。
- 成型:植物の「型」に熱で温めた塩化ビニルを押しつけて、真空注型機で型をとります。
- 切り抜き:型どったものを手作業でハサミなどで切ります。
- 色付け:本物に近い色をつけるため、塗料を配分に気をつけながら色付けします。
- 組み立て:接着剤やロウでパーツを接合させます。指先の器用さが必要です。
- 仕上げ:自然に近い状態にするため、土についている様子などは茶色い絵の具を使用します。
■株式会社西尾製作所
本社:〒607-8168 京都市山科区椥辻池尻町48
アトリエ:〒610-1106 京都市西京区大枝沓掛町26-284
Webページ:https://bm-nishio.sakura.ne.jp/
西尾製作所の製品は気軽に購入することはできるのか
西尾製作所さんのぬいぐるみ型イカの解剖模型、モデルチェンジ版を見せて頂きました。外套表皮のプリントがリアルになり鮮度感アップ、そして頭部軟骨が追加されています。この形状はかなり正確。器官ごとに触感を特徴づけていて、視覚障害者への配慮も伺えます。学校に普及するといいですね。 pic.twitter.com/fKNSfbDqzF
— So ISHIDA (@soishida) July 22, 2021
西尾製作所の製品は楽天などのインターネット通販などで気軽には購入できません。
理由は、受注してから製品を生産するためです。
1点1点、職人さんが丁寧に制作しているから、量産品ではないのでしかたないですね。
見積りは無料なので、西尾製作所のお問い合わせフォームから問い合わせください。
まとめ
今回は、NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」の共演者である草花のレプリカはどこで制作しているのか紹介いたしました。
受注生産なので、気軽には購入できませんが、あなたがの勤務先が教育機関や博物館であるなら、稟議を通して購入してみてはいかがでしょうか。
朝ドラ「らんまん」については「槙野万太郎のモデル牧野富太郎博士の父母や妻や子供と経歴は?」をご覧ください。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました。
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